作者 劉慈欣著『三体Ⅱ 黒暗森林』
レビュー:宇宙文明の壮大な物語、新たな展開へ
☆前作『三体』でSF界に衝撃を与えた作者 氏による、地球往事三部作第二弾『三体Ⅱ 黒暗森林(上)』前作から4年後の世界を舞台に、人類と異星文明三体との壮大な戦いが、さらに壮大なスケールで描かれる。
☆あらすじ☆
文化大革命の混乱の中、天体物理学者の葉文潔は、人類に敵対する異星文明三体の存在を知らせるメッセージを発信してしまう。
40年後、そのメッセージを受け取った三体艦隊は太陽系に向けて進軍を開始。人類は絶滅の危機に瀕する。
絶望的な状況の中で、科学者、軍人、政治家など様々な人物たちが立ち上がり、人類の存亡を賭けた戦いに挑む。前作で活躍した汪淼、史強、ETOの面々も再登場し、物語を盛り上げる。
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☆見どころ☆
圧倒的なスケール☆前作以上に広大な宇宙を舞台に、人類と三体、そしてその他の異星文明との壮大な戦いが繰り広げられる。想像を超える科学技術や、宇宙の神秘が描かれ、読者を圧倒する。
☆深いテーマ☆
文明間の衝突、生存競争、科学と倫理など、SF作品を通じて深いテーマが問いかけられる。人類の未来について考えさせられるとともに、SFの醍醐味を味わえる。
☆魅力的なキャラクター☆
個性豊かなキャラクターたちが、物語を彩る。科学者、軍人、政治家など、様々な立場の人物が、それぞれの思いを胸に、人類の存亡を賭けた戦いに挑む。
読んだ感想
☆圧倒的なスケールと緻密な設定
前作『三体』でSFファンを魅了した作者 氏の真骨頂とも言える作品。
前作以上に広大な宇宙を舞台に、人類と三体、そしてその他の異星文明との壮大な戦いが繰り広げられる。想像を超える科学技術や、宇宙の神秘が描かれ、読者を圧倒する。
特に印象的なのは、三体文明の過酷な環境と、それを生き抜くために進化した独特な文化だ。恒星の不規則な運動によって極端な環境変化に晒される三体星では、文明が幾度となく滅亡と再生を繰り返してきた。
その結果、三体人は極度の生存競争意識を持ち、他の文明を容赦なく排除しようとする。一方、人類は平和な環境で長い間繁栄してきたため、三体人のような冷酷な思考には理解が追い付かない。しかし、人類もまた、三体艦隊の脅威に直面することで、生き残るために新たな戦略を編み出していく。
SF作品を通じて、文明間の衝突、生存競争、科学と倫理など、深いテーマが問いかけられる。人類の未来について考えさせられるとともに、SFの醍醐味を味わえる。
個性豊かなキャラクターたちが、物語を彩る。科学者、軍人、政治家など、様々な立場の人物が、それぞれの思いを胸に、人類の存亡を賭けた戦いに挑む。
☆特に印象的なキャラクター☆
・汪淼:前作の主人公。科学者として、三体文明の謎に挑む。
・史強:軍人であり、汪淼の良き理解者。
・葉文潔:文化大革命中に三体文明の存在を知り、人類に敵対するメッセージを発信した女性。
・羅輯:面壁者計画によって選ばれた、人類の命運を託された男。
☆緻密な伏線
物語の随所に散りばめられた伏線が、後半で回収されていく。何度も読み返すことで、新たな発見を楽しめる。
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☆SFファン必読の壮大な作品☆
『三体Ⅱ 黒暗森林(上)』は、SFファン必読の壮大な作品。前作を超えるスケールと深さで、読者を新たなSFの世界へと誘う。
☆気になる点☆
・SF作品なので、科学的な知識がないと理解しにくい部分がある
・暴力的なシーンや残酷な描写がある
・下巻を読むまで物語は完結しない
人類の未来を決定づける壮大な展開が待ち受けます。
作者は、科学技術、哲学、そして人類の生存戦略に関する深い洞察を織り交ぜながら、希望、犠牲、英雄主義を描き出します。
物語の終わりに向けて、読者は生存、倫理、宇宙文明についての新たな問いに直面し、その解答を求める旅に出ます。
『三体II 黒暗森林』シリーズは、その難解さとともに、読者を深い反省と新たな視点へと導く、忘れがたい作品です。