『嫌われる勇気』と聞いて、まず思い浮かぶのがあの青い1冊の本ではないでしょうか。
嫌われる勇気は、国内208万部、世界で485万部も売れている大ベストセラーです。
そんな大人気な作品にも関わらず、理解できないと批判する人がいるのも確かなのです。
私も、初めて見た時は『え?』と思ったよ。題名だけ見て理解できる人は少ないんじゃないかな?
それは題名だけでなく、内容に対しても理解できない、納得いかないと批判が寄せられたのです。
しかし、初めは理解できないが、読み進めるうちに理解できるようになった、人生が劇的に変わったと言う人も多くいるのがこの『嫌われる勇気』なのです。
『嫌われる勇気』は、一体どんな内容で、賛否両論寄せられる理由など、徹底解剖していきたいと思います。
嫌われる勇気は理解できない人続出⁉︎ヒットの謎とは
『嫌われる勇気』は2013年12月に発売してから、今もなお、売れ続けているロングセラーです。
そんな名作には注意しなければならないことがあります。
読み手によっては人生が劇的に変わった素晴らしい本になり得ます。しかし一方では理解できないと批判する読者もいるということです。
そんな読者を選ぶと言われている『嫌われる勇気』は一体どのような本でどんな人物が書いた本なのでしょうか。
『嫌われる勇気』は、サブタイトル『アドラーの教え』をみてわかるように、フロイト、ユングに並ぶ心理学三代巨頭の一人であるアドラーの心理学を元に書かれた自己啓発本です。
日本で208万部、世界で485万部も売れているので、海外の本だと思いきや、実は哲学を学んでいた日本人カウンセラーが書いた本なのです。
日本の本が世界で485万部も売れているなんてすごい!
著者は、哲学者でもあるため、この『嫌われる勇気』はギリシャ哲学とアドラー心理学をうまく織り交ぜながら伝えてくれています。
それだけ聞くと、なんだか専門用語が出てきたり難しそうで、もうすでに理解できないように思えますが、内容はとてもシンプルで読みやすいものです。
話は哲学者の先生と悩める青年の対話形式で進んでいきます。
この青年が読者の気持ちを代弁してくれるかのように理解できない思いを哲学者に色々と突っ込んでくれるのですが、哲学者はそれをなだめながら話を進めていくといった感じです。
このことから、『嫌われる勇気』はとても読みやすいことが伝わりますね。
心理学や哲学など、一見難しそうな内容を対話形式でわかりやすく伝えてくれる点もヒットの理由の一つなのかもしれません。
また、登場人物の紹介文や挿絵にも工夫がされています。
例えば、哲学者の紹介文を『古都の外れに住む一風変わった哲学者』と表現したり、哲学者の書斎の挿絵を入れる際に、PCを描かなかったりしたのです。
本当は京都と書きたいところを世界共通認識の古都にしたらしいのです。
また、PCは10年後同じ形である保証がないため挿絵に入れず、紙や万年筆を入れたのだそうです。
日本の固有名詞を使わないことで、世界の読者にも親しみやすさが生まれたり、同じ形である保証のない物を描かないことで長く読んでいただけるようにしたんですね。
そのような工夫も、日本だけでなく世界でヒットし、長く読まれている理由かもしれません。
嫌われる勇気は人間関係に悩むあなたに読んでほしい!
読者を選ぶって言われてるけど、一体どんな悩みにおすすめなの?
主に、人間関係で悩みを抱えているあなたには、響く内容なのではないでしょうか。
しかし、本の中にも書かれているように、この本の内容は処方箋であり劇薬(げきやく)にもなりうるので、内容を正しく理解することが必要です。
嫌われる勇気の原点!アドラー心理学の5つの理論
『嫌われる勇気』を解説する前にまず、知っておかなければいけないことがあります。
『嫌われる勇気』の原点であるアドラー心理学とはそもそもどのようなものなのかということです。
アドラー心理学とは、オーストラリアの精神科医アルフレッド・アドラーが提唱し、その後、後継者たちが発展させてきた心理学です。
アドラー心理学は、以下の5つの理論によって成り立っています。
- 目的論
- 個人の主体性
- 全体論
- 対人関係論
- 認知論
なんだか難しそうな言葉が出てきた!
一見難しそうですが、中身はいたってシンプルです。1つずつ説明していきます。
1.目的論とは、人は必ず目的があって、今の状況を生み出しているという考え方です。
それに対比する言葉で、原因論というものがあります。原因論とは簡単に言うと、『原因のせいで、行動ができない』という考え方です。
つまり、解決するには、過去の出来事である原因を探って、それを解決していくことで行動できるようにしていくというアプローチをします。
それに対し目的論とは、過去の出来事が原因で踏み込めないのではなく、『何か目的があって踏み込まない状態を作っている』という考え方です。
こちらは、価値観や考え方が踏み込まないという選択に繋がっているので、その価値観や考え方を修正することで踏み込めるようにするアプローチ方法です。
つまり、目的論はある意味トラウマの存在を否定していることになりますね。
2.個人の主体性とは、全ての行動は自分自身が決定しているという考え方です。
つまり、何かに突き動かされるなどという表現はなく、自分自身が全て決めて動いているということです。
3.全体論とは、個人は意識や無意識、理性や感情などは1つであり協力しあっているという考え方です。
つまり、『つい、カッとなって、叩いてしまった』という表現は否定されます。
この文は、『感情をコントロールできずに理性が負けて叩いてしまった』ことになります。一見普通の文に見えますがこれを車で例えてみましょう。
『アクセルが勝手に暴走して、ぶつかってしまった』となります。
なんだか変な言い訳に聞こえますよね。しかし、アクセルやブレーキが勝手にとは言わないのに、感情や癖のせいでやってしまったと言うと何故か受け入れられてしまうのです。
つまり、全体論でいうと『相手に自分の思いを理解してほしいという目的が、理性と感情を連携させて叩いてしまった』ということになります。
理性と感情はセットなので、決して感情が先走ったりすることはないということです。
4.対人関係論とは、人の全ての行動には相手役がいて、その全ての行動は相手役に向けられたものであるという考え方です。
対人関係をする上で、直面する3つのタスクこちらです。
- 仕事のタスク
- 交友のタスク
- 愛のタスク
仕事のタスクとは、職場の人はもちろんですが、すれ違った人や店員さんなどもう2度と合わない人も含まれます。
役割分担などと割り切って接するため、運命や人生を共にしない人の部類になります。
交友のタスクとは、仕事の関係以上の付き合いの人を指します。
友人や、プライベートも仲良くする同僚、尊敬する上司などもそれに含まれます。
この場合、運命は共にしませんが人生は共にするため、程よい距離を保ちながら、仕事のタスクよりも親身になって接することになります。
愛のタスクとは、夫婦や、親子、親戚や恋人などを指します。
この関係は、運命や人生を共に生きることになるため、誰よりも近い距離感で接することになります。
そしてこのタスクは、相手に対して何も求めず、ただ無償の愛を与えることですので、他のタスクに比べて難しい傾向にあります。
このことから、この3つのタスクは後半になるにつれて、関係を築くのが難しくなるということがわかります。
そして、人間の悩みの全ては、対人関係の3つのタスクのどれかであるとアドラーは言います。
5.認知論とは、人は同じものを見ていても、認知の仕方が違うので、人はみんな世界の見え方が違うんだという考え方です。
極端な例かもしれませんが、これくらい認知の差は人それぞれなのです。
以上がアドラー心理学の5つの理論です。アドラーが提唱したほんの一部にすぎませんが、なんとなくアドラー心理学がどういうものなのか理解していただけたら嬉しいです。
このアドラー心理学を理解すると、『嫌われる勇気』がグッと面白くなると言っても過言ではありません。
嫌われる勇気を徹底要約!人生を豊かにするポイント
アドラー心理学は、今までの価値観を覆すような内容が多かったと思います。それは『嫌われる勇気』にも同じことが言えます。
そのため、大きく人生を変えてくれる処方箋のような本にもなり得ますし、逆に理解できないと突っぱねたり解釈を間違えると劇薬になってしまうのです。
アドラー心理学はなんとなくわかったけれど、嫌われる勇気が劇薬にもなりうると言われてしまう理由がまだ理解できないなあ。
この先は、ざっくりとですが『嫌われる勇気』の要約をしていきますので、ネタバレが嫌な方は注意してください。
この要約は、ざっくりとしていますが、だいぶ深く掘り下げている部分もあります。
読んだことがある場合やなんとなく内容は知っている場合でも理解を深めることができるかもしれません。
嫌われる勇気は先ほど解説したアドラー心理学に沿って話が進みます。
要約中にも類似している点が多々ありますので、ぜひ照らし合わせてご覧ください。
まず結論から言うと、嫌われる勇気は『幸福に生きるための考え方』というなんとも普遍的なテーマなのです。
この本で主張している人生を豊かにするポイントは、以下の3つです。
- 人は変われる
- 世界はシンプル
- 誰もが幸福になれる
え!?人は変わるのは難しいし、世界は複雑だよ?本当の幸せは大金持ちとか一握りの人しか手に入れられないんじゃない?
そう思いますよね。この段階では、なんだか胡散臭くて、理解できないと言われてもおかしくないです。
本の中の青年も、同じようなことを哲学者に訴えます。
しかし読み進めていくうちに、読者も青年もその考えを覆されるのがこの本の面白いところなのです。
それではこの3つのポイントを掘り下げていきましょう。
トラウマは存在しない!だから人は変われる
トラウマなんてないのだ、あるのは目的だけである。
哲学者さん⁉︎トラウマがないってどういうこと?
これはアドラー心理学にもあった、目的論にあたりますね。それに対比するのは原因論となります。
ここでは、アドラー心理学で紹介した内容をさらに噛み砕いて、一体『嫌われる勇気』では何を伝えたいのか解説していきます。
原因論は『赤面症を治していきましょう』となりますが、目的論は『その告白から逃げる価値観や考え方を変えよう』となるのです。
原因であるトラウマや、怒り、劣等感などは、楽な状態を作り出すための道具でしかないというのが目的論の考えです。
(A)トラウマ、怒り、劣等感はコントロールできない
(B)トラウマ、怒り、劣等感はコントロールできる
あなたは、上記についてどちらが正しいと思いますか?
ん〜、こういう気持ちってコントロールできない気がするなあ。
(A)コントロールできないというのは原因論、(B)コントロールできるというのが目的論です。
では、トラウマや、怒り、劣等感などは本当にコントロールできないでしょうか。
例えば、あなたがのもすごく怒っていたとします。その時、なんの関係もない仕事先から電話がかかってきたらどうでしょう。
平常心になり、何事もなかったかのように電話に出ませんか。
劣等感を抱えながらも、それを表に出さず、明るく振る舞っていませんか。
このことから、トラウマや怒りや劣等感はコントロールできるということがわかりますね。
人は何かしら、問題が生じた時、トラウマや怒りや劣等感のせいにしているのです。つまり道具として使っているということになりますね。
何かのせいにした方が、自分が守られて楽だからです。
しかし、問題が生じるたびに、トラウマや怒り、劣等感などのせいにしていては、人はいつまでも変われませんよね。
『何かのせいにして行動しない』のではなく、『行動をしたくないというその考え方を変える』ことで人はいつでも変われるのです。
『人はいつでも変われるんだよ』という変わりたい人へ勇気を与えるメッセージが込められていますね。
大体があなたの課題ではない!だから世界はシンプル
この世の全ての悩みは『対人関係』である。
えー!もっとあるでしょう!例えば〜、お金の悩みとか!
大体の人は『お金の悩みは対人関係じゃないでしょう!』そう思うかもしれません。そう思ったあなた、以下をご覧ください。
など、そもそもお金というのは、人がいないと成り立たないものなのです。
人が価値を認めなければ、それはただの紙切れになってしまうのです。
と言うように、全ては対人関係と繋がっているのです。
た、確かに…。でもどうしたらその『対人関係』の悩みを解決できるの?
対人関係の悩みを解決する考え方をご紹介します。
『自分のこと』と『他人のこと』を分離して考えるのです。それを『課題の分離』と言います。
つまり、『他人に介入しない、介入されない』ことです。
それだけ聞くと、なんだか冷たい人のように聞こえますよね。
しかし言い換えるとそれは『人のために何かをしてあげようとしたり、人と比べるようなことをしない』という考え方です。
他にも悩みから解放されるために以下のことが挙げられます。
褒められようとすること、褒めることは2つとも、『縦の関係』です。
縦の関係とは、いわゆる上下関係という意味です。
褒められようとするのは、能力が下の人が上の人に対する行動ですよね。つまり承認欲求を満たしたいための行動です。
逆に褒めることは能力が上の人が下の人に対してする行動ですよね。
これに関しては、なんと恐ろしいことに褒めているとなんと潜在的に自分の方が劣ってるとすり込んでしまい、劣等感が生まれてしまうらしいのです。
つまり承認欲求や劣等感が生まれてしまう『縦の関係』ではなく、悩みから解放されるには、『横の関係』で感謝をすることが大切なのです。
『感謝をすること』が大切であると聞くと、なんだか久しぶりに自分の常識内のことを言われて、少しほっとしますよね。笑
『横の関係』で感謝をし、『縦の関係』での窮屈から解放されることで、『嫌われる勇気』を持つことができるのだ。
でた!嫌われる勇気!そんなの持てないよ〜嫌われたくない!
『人に嫌われたくない』と思うのは人間として当たり前の気持ちですよね。
しかし、その気持ちのままいくと、人の評価を気にしながら不自由に生きていく選択を強いられるのです。
ましてや、『あなたの行動で他人があなたを嫌うなんてあなたでは決められない』のです。
例えば、明るくニコニコしているあなたに対して、『いつもニコニコしていい子』と思う人もいれば『何考えてるかわからない』などと思う人もいるのです。
芸能人に対しても、芸能人がその人に対して何かしたわけじゃないのに、あの芸能人は嫌いだとか好きだとかよく聞きますよね。
昔と比べて今はインターネットが普及しているため、芸能人に限らず特にそのようなことを耳にするようになりました。
そんな世の中だからこそ、『嫌われる勇気』を持って幸せに生きていく考え方が大切です。
これが悩みから解放されるためのスタート地点に立つ考え方なのです。
『嫌われる勇気を持って、褒められようとせず褒めもせず、ただ感謝して自分の生きたいように生きる』のです。とてもシンプルですよね。
これが幸せになるスタート地点?スタートがあるならゴールもあるの?
ゴールは『仲間に貢献できている感覚』である。それこそが幸せのゴールだ。
以上の考えを持ってスタート地点に立てたら、幸せのゴールはあと一歩です。
仲間に貢献できている感覚こそが幸福である
幸福のゴールは、仲間に貢献できている感覚(共同体感覚)であると哲学者は言いました。
しかしその中で、1つだけ禁止事項があります。それは『競争すること』です。
競争することで、仲間という意識がなくなり、競争して勝たないと自分に価値がないと思い込んでしまうため、幸福のゴールとはかけ離れてしまうのです。
ではどのような考えを持てば仲間に貢献できている感覚を得られるのでしょうか。
1.自己受容(じこじゅよう)とはよく言われている自己肯定(じここうてい)とは違います。
自己肯定とは、できない自分を無理矢理できると鼓舞(こぶ)することです。
それに対して、自己受容はできない自分を受け入れると言うことです。
2.他者信頼は、信用とは違います。信用は銀行などで使われるように、何か条件がある上で信じるということです。
それに対して信頼は、無条件で信じると言うことです。
無条件で人を信じるってちょっとこわくない?裏切られたらどうするの?
本の中でも、青年が同じことを哲学者に問いました。そうすると、哲学者はこう答えました。
『裏切られるか裏切らないかはあなたの問題ではない』だろう。
そうです。裏切るか裏切らないかは、その人次第であり、あなたにはどうすることもできないのです。
つまりこれも、自分のことと他人のことを分ける『課題の分離』の考え方です。
3.そうやって幸せのゴールである他者貢献(たしゃこうけん)つまり仲間に貢献できている感覚を得るのです。
つまり、考え方を変えるだけで誰もが幸せになれるということになります。
『嫌われる勇気』を読んだ今日から人は変われるし、幸せになれるのです。
以上が『嫌われる勇気』の要約です。どうでしょうか、最初と比べてこの本のイメージが大きく変わったのではないでしょうか。
最後に哲学者はとても大切なメッセージを残しています。
あなたは『いま』を生きているか。
『いま』を生きるって漠然としてるなあ。どういうこと?
例えば、世界遺産を見に行くために、旅に出たとします。その旅は何が楽しかったでしょうか。
世界遺産を見た瞬間だけが楽しかったのですか。違いますよね、
その道中、いろんなひとに会ったり、美味しいものを食べたりしたその時その時の出来事が楽しかったのではないでしょうか。
それと同じように、人生を線のように考えてしまうからまだゴールに辿り着けない自分を責めてしまうんです。
ただひたすら目的に向かって突っ走ることが悪いことではありません。
しかし人生は、いつ終わるかわからないのです。
だから、人生を点のように考えて、その時その時を幸せだと思って生きていくことこそが幸せなのです。
そうして人生を点で生きていくことで、誰もが幸福になれるのです。
なんだか難しく考えすぎていたな〜。世界が明るくなった気がする!
嫌われる勇気が批判される理由と本当の意味
嫌われる勇気は、今まで触れたことのないような考え方が多く登場しましたよね。
価値観や常識が覆(くつがえ)されるような部分もあるため、理解できないと批判したくなる人もいるでしょう。
中には、『人生を全否定されたような気持ち』になる人もいるかもしれません。
おそらくそのような気持ちになった方が、批判したくなる主張は、『目的論』ではないでしょうか。
目的論では、『トラウマなんてない』と真っ向からトラウマの存在を否定しています。
これは今までトラウマを抱えて生きてきた方にとって、あなたは言い訳をして逃げていると言われているようで気分が悪いですよね。
しかし、嫌われる勇気では本来そのようなことを伝えたいのではなく、以下のようなことを伝えたいのです。
トラウマの存在を肯定した場合:トラウマがあるから、あなたが成長できないのはしょうがないよね
トラウマの存在を否定した場合:トラウマはないから、あなたは成長できるよ
目的論は『トラウマがあるからあなたは成長できないと慰める』のではないのです。
『トラウマはないからあなたは成長できる』と、あなたが変わるための一歩を踏み出す勇気を与えてくれるのがアドラー心理学の目的論なのです。
トラウマや怒り、劣等感などはコントロールできるといった考えも、キツい言い方に聞こえますが、勇気を与えてくれる考えの一つです。
コントロールできるということは、それ自体が原因ではないのだから、考え方や価値観を変えるだけであなたは変われるというメッセージなのです。
もう一つ嫌われる勇気が批判されている部分を取り上げるとすると、『課題の分離』についてです。
『自分のこと』と『他人のこと』を分離して考えるということですが、それに対して自己中心的だとか冷たいと考える人もいるでしょう。
確かに言い方を変えると『私は私、他人は他人』と協調性のない自己中心的で冷たい考えに聞こえてしまいます。
しかしこれは、自分勝手に行動しろという極端なメッセージではなく、『他人に依存しすぎないであなた自身を認めてあげて』というメッセージなのです。
他人の評価に左右されて、承認欲求や劣等感を感じて息詰まってしまうくらいなら『嫌われる勇気』をもった方が幸せだよということです。
本のタイトルでもある『嫌われる勇気』というのは、嫌われなさいという意味では決してありません。
そもそも『嫌われるか嫌われないかはあなたの問題ではないので、気にしないで勇気を持って生きなさい』というメッセージですね。
もちろんこれは、常識的な行動をしてこそ言えることです。
『課題の分離』を自分勝手に行動することと勘違いしている人には当てはまりません。
『人を褒めない』ということも、他人を認めてはいけないという厳しい言い方に聞こえますがそうではありません。
『褒めるのではなく感謝をすることで縦ではなく横の関係を築きましょう』というメッセージです。
このように、意味を誤解をしてしまうと、結果的に批判が増えてしまったり、間違った行動をとってしまう人が出てくるのです。
なるほど、内容がシンプルだからこそ正しく理解することが大切だね。
しかしながら、『嫌われる勇気』が全て正しいと思うのも少し違います。
『嫌われるのは私の問題ではない』と強い気持ちになれない人だっているし、横の関係でいられるような環境ではない人もいます。
この本は、あくまでも『幸福に生きるための考え方』を伝える本です。
全ての考え方を理解できないとしても、少しでも勇気づけられる言葉があればそれはもう、以前のあなたより幸せなのだと思います。
読み手によって処方箋でもあり、劇薬にもなりうる『嫌われる勇気』はどちらにせよ人に大きな影響を与える名作であることがわかりました。
まとめ
- 理解できない人続出⁉︎『嫌われる勇気』は賛否両論のベストセラー
- 日本で208万部、世界で485万部!海外の本だと思いきや実は日本人カウンセラーが書いた本
- 話は哲学者の先生と『嫌われる勇気』が理解できない悩める青年の対話で進んでいく
- 世界中から評価され長く愛される工夫がたくさん
- 『嫌われる勇気』の原点はオーストラリアの精神科医アドラーが提唱した心理学
- 嫌われる勇気の内容は『幸福に生きるための考え方』という普遍的なテーマ
- トラウマなんてない!あなたはいつでも変われる
- 大体はあなたの課題ではない!世界はとってもシンプル
- 人生は線ではなく点である!その時その時を幸せに生きることが大切
- 批判されがちな内容は実は勇気を与えてくれるメッセージ
『嫌われる勇気』は以前読んだことがありましたが、正直私も、理解できない内容が多々ありました。
しかし、今回内容を深く掘り下げていくと、人間の本質をつく内容にとても衝撃を受けました。
『幸福に生きるための考え方』というテーマはこれからも色褪せることなく、多くの人の興味を惹くでしょう。
『嫌われる勇気』を読んだことがある人もない人も、この記事を読んで少しでも自身の『幸せ』について考える機会になればと思います。